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5話
1820年、ドラクロワは西南仏のアングレーム市にあるラ・ボアクス村に滞在しました。
その時に悪性のマラリアにかかってしまい、その際根治を怠ったので、一生発熱で苦しむ原因をつくってしまいます。
小説家アレクサンドル・デュマの回想録によるとドラクロワは、小さい頃にこのような危機一髪で死を免れた大変な事件をたったの1年間で立て続けに体験しています。

・軍人だった兄が幼い弟(ドラクロワ)を抱き上げたところ、小児は兄の乗馬用のヒモを首に巻きつけて遊んでいた。 兄が弟を床に降ろす時に手を放してしまったため、弟はつるし首になった。
・女中がドラクロワの寝ているかやのすぐ傍に、火のついたロウソクを置き忘れた。風が吹いてかやに火がつき、危うく焼け死ぬところだった。成人した彼の背中にはこの火傷の後が残っている。
・父親の赴任先のマルセーユで船から船に移る時、ドラクロワを抱いた女中が海中に落ちた。幸い船頭が飛び込み、間一髪小児を救い上げた。
・父親の書斎で銀緑色の絵具を見つけて嬉しさのあまり、絵具を食べてしまい、絵具の毒で生死を彷徨った。
・母親から乾ブドウを与えられ、一粒ずつ食べず、全て口に入れてしまい、喉につっかえ窒息しかけていたところ、母親が手首ごと口に突っ込みブドウを引っ張り出し小児はやっと息をつくことができた。

1年間に5度も死を免れた奇妙な運命について、後年のドラクロワは「私のようなひよわなものが、初めて見たばかりのこの世にあぶなくいとまを告げるような不思議な命拾いの連続は全く神のご加護である」 と語っています。

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